日本で得た「仲間」
二〇一〇年五月三〇日、第七八回多摩探検隊『中国人に聞く!~高尾山編~』で、初めてのリポートに挑戦した。私にとって、初めての高尾山、初めての番組制作、初めてのインタビューであった。今回、私は番組のリポーターを担当することで、自分自身が大きく成長できたのではないかと思っている。
私は、中国の上海からやって来た留学生だ。中国にいた時はまさか、日本で、しかも日本の大学生と番組を制作するなどとは思ってもいなかった。だから、最初はとても不安だった。日本の大学生とコミュニケーションがとれるのか、言葉の違いに戸惑ったりしないだろうか、うまく話せるだろうか・・・。撮影前日まで、何回もセリフを読んで暗記し、練習した。
本番当日、現場に行くと思った通りに撮影は進まなかった。撮影しているときに、日本の大学生が話す言葉が、聞いたことが無い言葉ばかりだったのだ。日本語の日常会話には自信があったのに・・・。とても戸惑った。そんな中で、撮影は始まった。最初に撮影したのは、番組冒頭の挨拶の部分で、高尾山のモノレール駅入口前でリポートするものだった。周りにはたくさんの観光客がいたので、とても恥ずかしかった。だが、恥ずかしがりながらのリポートが、うまくいくわけがない。「もっと大きな声で。がんばりましょう!」と、撮影スタッフに笑顔で励ましてもらった。言葉がうまく出ず、最初の挨拶の部分は十回以上撮りなおした。でも、回数を重ねるうちに、だんだん恥ずかしい気持ちを克服することができた。
やっとの思いで、恥ずかしい気持ちを克服して、中国人観光客を探しに出発した。しかし、午前中はあまり中国人に会えなかった。二時間ぐらい登山口で待って、ようやく一人目の中国人を発見した。「多摩探検隊」のことを説明し、お客さんの許可を得て、インタビューを始めた。中国人観光客と中国語でインタビューしたので、私にとってはとても楽だったと思われるかもしれない。しかし、実際は非常に難しかった。私はただ聞いているだけではなく、自分のコメントと感想をアドリブで話さなければならなかったからだ。質問項目を考えて質問し、相手の答えを聞いて、その後に自分のコメントを言う。それは思ったより難しいことだった。最初の三人はうまくできなかった。けれど、自分の母国の人たちと話すことは、とても楽しかった。それに、間違ったとき、戸惑ったときには、いつも撮影スタッフの日本の大学生が、優しく励ましてくれた。スタッフの笑顔を見ると、自然と「がんばろう」と思える自分がいた。おかげで、四、五人目になるとリラックスしてインタビューできるようになった。
撮影が進むにつれて、ディレクターだけでなく、撮影に参加したスタッフ全員が一体になった気がした。日本の大学生たちも、少し中国語で話しかけてくれた。私は、そのことが本当にうれしかった。もっと、撮影スタッフと一緒にいたかった。もっと、お互いのことを知り、理解し、仲良くなれるのではないかと思った。
今回の撮影を通して、私のコミュニケーション能力が上がったような気がする。インタビューに答えてくれる人を探し、自分がやっていることを説明し、お客さんに撮影の許可をもらった。そして、会話のキャッチボールをすることができた。
番組が完成してから、上海にいる父と母に、番組を収めたDVDを送った。大学の成績からは決して分からない、生き生きとがんばっている私の姿を、両親もきっと見てくれたのではないかと思う。そして、今度、上海に帰ったときには、日本でできたかけがえのない仲間について話そう。私は今、そんなことを考えている。